ACCN会員にとっての拠り所であり、社会に向けての責任の明確化
キャリアコンサルタントは、世の中の一人ひとりが満足のいく人生を歩んでいくことを支援する専門職です。一人ひとりの人生に関わるのですから、キャリアコンサルタント倫理綱領(キャリアコンサルティング協議会)を踏まえた行動規範に則って行動するなど、適切な職業倫理に基づいた活動を進めていくことが必要です。
一方で、価値観や考え方が多様化し、変化の早いこの社会においては、ACCNの会員としての活動の拠り所となる考え方を共有しておくことも大切です。ACCNキャリアコンサルタントとして何を為すべきなのか、あるいは何を為さざるべきなのかは、その時々の状況においてACCN会員一人ひとりが判断しなければならないからです。
企業をはじめとして、多くの人が集う組織においては、それぞれの組織の目的(Purpose)や目指す方向性(Vision)、大切にする価値観(Value)を明らかにします。こうすることで、それに賛同する人たちがその組織に参画することを促すことになりますし、所属するメンバーが何らかの判断を求められたときに拠り所とすることができるからです。
また、組織外の人からは、その組織がどのような組織なのかを理解するための手がかりとなります。その組織にどのようなことを期待すればよいのかを知る手助けとなるだけでなく、そもそもそうした組織が社会の一員として存在することの是非を判断する材料にもなります。
こうしたことを前提に、キャリアコンサルタントの職能団体であるACCNとしても、私たちが活動するときの拠り所となるもの、社会から私たちを理解していただくときの材料となるものとして、ACCN_Wayを検討、作成しました。
キャリアコンサルタント倫理綱領、行動規範との関係
キャリアコンサルタントがその活動の拠り所とするものに、法的根拠である職業能力開発促進法やキャリアコンサルティング協議会が明らかにしているキャリアコンサルタント倫理綱領などがあります。
ACCN_Wayはこれらを大前提としつつ、そもそもキャリアコンサルタントはどのようにあるべきなのか-という点を明らかにすることに重点を置きました。希求する究極の目標(Purpose)と位置づけています。このPurposeの実現を図る上で、キャリアコンサルタント倫理綱領やそれに基づいて検討が進められているキャリアコンサルタント行動規範(仮称)は当然遵守するものと位置づけています。
つまりこれらは規定する階層が異なってはいるもののいずれも重要なものなのです。

3つの原則
対人支援を行う専門職として共有すべき前提と基本原理として次の3点を位置づけています。
- 自由の原則~個の尊重
- 友愛の原則~相互尊重
- 正義の原則~倫理の尊重
基本原理ですからACCN_Wayはこうしたものは所与のもの、当然に考慮すべきものとしています。
この3つの原則は人が人としてこの社会で生きていく中で必要な倫理として挙げられているものでもあります(参考:「ふだんづかいの倫理学」平尾昌宏、晶文社)
倫理上の問題はこれらの3つの原則が相互に入れ違う時、つまり一方の原則を全うしようとすれば、もう一方の原則を逸脱することになってしまうという場合がほとんどです。
3つの原則を尊重するとはどういうことなのか、その内容を含めて十分に理解しておくことが、ことACCNキャリアコンサルタントに限らず、対人支援を行う専門職には欠かせないものと考えています。
参考
・キャリアコンサルタント倫理綱領(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会のWebサイトにリンクしています)