ACCN_Way (再掲)
私たちACCNキャリアコンサルタントは
すべての人は、働くことについて、また生きることについて、自ら考えて意思決定できる存在だと信じています。そして、一人ひとりが、自身の仕事人生を大切にし、お互いの仕事人生を尊重しあえるような世の中を理想としています。その理想を実現するために、私たちACCNキャリアコンサルタントは個人や組織に働きかけていきます。
私たちACCNキャリアコンサルタントは「善い仕事」を大切にします。「善い仕事」とは、一人ひとりがその人らしく働き、生きていくという個の尊厳が守られる働き方を指します。また、個人が所属する組織において、相互尊重しながら力を発揮することで社会的な役割を果たしていく仕事を指します。
これにあたり私たちACCNキャリアコンサルタントは、一人ひとりの人生にさまざまな形で関わっていることを自覚し、「善い仕事」をしていくために必要な専門性の充実、関係する専門家や団体との適切な関係の構築など、私たち自身の成長に絶え間なく取り組むことを誓います。
構成
ACCN_Wayは3つの段落で構成されていますが、それぞれ次のような内容を取り上げています。
〇第1段落~ACCNキャリアコンサルタントの社会における存在意義
ACCNキャリアコンサルタントはどのような社会的存在であろうとしているのかを表しています。
キャリアコンサルタントという専門職としてどのような社会の実現を目指しているのか、そのためにどのように社会に貢献しようとしているのかを端的に示しました。
〇第2段落~ACCNキャリアコンサルタントとして私たちの間で共有しておきたいこと
ではACCNキャリアコンサルタント一人ひとりの行動、活動はどのようであるべきなのでしょうか?
行動や活動の場面や方法、スタイルはACCNキャリアコンサルタント一人ひとりが異なっているものですが、共通しているのは「善い仕事」を着々と進めていくことであろうと思います。その善い仕事は、キャリアの主体である個人はもとより、個人が所属する組織にも向けられるものであり、両者が相互に活かしあえる社会の実現を願ったものであることを記述しています。
〇第3段落~ACCNキャリアコンサルタントのあり方
ACCNキャリアコンサルタントが「善い仕事」を進めていくうえでは、さまざまな要請が錯綜することが少なからず起こります。
なにがよいことなのか、だれにとってよいことなのか。そこに関わるACCNキャリアコンサルタント自身も当事者となるその状況において、一定の方向性を導き出すに当たって、ACCNキャリアコンサルタントとしてなすべきことは数多くあることを示しました。
さらに理解を深めていくために
攻めの倫理
ACCN_WayはACCNキャリアコンサルタントが守るべき「攻めの倫理」という側面も持っています。
「攻めの倫理」とは「ふだんづかいの倫理学」(平尾昌宏、晶文社)で紹介されている表現です。倫理には「守らなければならないもの」という趣旨のものと、よりよい世界/社会を実現していくために「守るべきもの」があると考え、前者を「守りの倫理」後者を「攻めの倫理」と読んでいます。
倫理の区別 | 伝統的な呼び方 | 基本の性格 | よく生きるための | 特徴 | 典型的なパターン |
守りの倫理 消極的倫理 | 義務論 | 正しさ | 必要条件 | 規則、法っぽい 二者択一 | 正義 |
攻めの倫理 積極的倫理 | 目的論 | 善さ | 十分条件 | 道徳っぽい 選択肢は多数 | 自律(幸福) |
私たちは倫理の話をしているとき、これらを混在させていることが少なくありません。その結果、「キャリアコンサルタントだったら必要なはず」ということだけで、そもそもそれはなぜそうするのかといった目的を見失っていたり、その他に有効な方法はないかを検討しないままに、「やらねばならない」からと取り組んでしまって、手段が目的となってしまっていることはないでしょうか? 逆に「なぜするのか目的が分からない。だったらやらなくてもいいんじゃないか」とやらないで済ませておくという判断をしてしまってはいないでしょうか?
大切にすべき倫理には、守らなければキャリアコンサルタントとしての在り方を大いに傷つけてしまうものもあれば、守ることによってキャリアコンサルタントが一人ひとりの幸福、よりよい社会の実現に近づいていくというものもあるはずです。そこで、倫理委員会では、敢えて「攻めの倫理」の方に焦点を当て、ACCN_Wayとして取りまとめてみました。なぜ倫理委員会がACCN_Wayなんだろう? と思われた方も少なくないと思います。実はACCN_Wayは「攻めの倫理」としての位置付けなんです。
じゃぁ「守りの倫理」の方はどうするの?--そう思われますよね。そちらは、今後、行動規範の中などで明確化していこうとしています(もちろん、行動規範=守りの倫理というわけではありません)
言い尽くされない言葉たち
ACCN_Wayの作成にあたっては、簡明であることにも留意しました。
文章を長くすればより正確に、誤解のないようにすることができます。特別な用語を使って書き分けることでもそれは可能です。
ですが、ACCN_Wayはキャリアコンサルタントではない世の中の人にも読んでほしいと考えました。だからより平易な表現がよいと考えました。
また、ACCNキャリアコンサルタントの皆さんには、同志の中で言葉や文章の隙間を埋めるための話し合いに取り組んでいただきたいと思いました。というのは、キャリア開発とは自立した個人であろうとすることでもあります。キャリア開発を支援するキャリアコンサルタントなのですから、私たちもキャリアコンサルティングという領域においてはお互いに自立した専門職でありたいと思うのです。自立した専門職なのですから、「これはこのように考えるべきだ」と押しつけられることばかりではなく、自らが「問い」を立て、それに自分なりの答えを出していくということが欠かせないと思うのです。少なくとも私たちが専門とするキャリアに関わることについてはそうであってもよいのではないでしょうか?
例えば「善い仕事」。善い仕事ってなんなのでしょう? 何を物差しに考えるのでしょう? だれにとっての物差しなのでしょう? その物差しは時代を超えた普遍のものなのでしょうか? そもそも物差しはあるのでしょうか?
覚えるべき知識、習得すべき技術や態度があることは、専門職なのですから当然のことです。しかし、私たちACCNキャリアコンサルタントはそうしたことを前提とした上で、自ら「これでよいのか?」「これがよいのか?」と問いを立て、同志とともにその答えを希求していく存在であり、このことが自立した専門職であることの証左の一つだと考えています。
そしてACCN_Wayの第3段落はそうしたことも意味しています。
ACCN_Wayは「覚えるもの」ではなく、そこからいろいろと考えを深めていくものと捉えていただければと思います。
とはいえ、ACCN_Way作成段階で、次の「言葉」たちは、倫理委員会の中でもさまざまに検討した【言葉】です。
もっと詳細に説明しないと誤解を招くのではないか、他の言葉に置き換えないとすっきりと意味が通らないのではないか…などなど。
それぞれリンク先にどのような話になっていたのかを記述していますが、ぜひ皆さんも検討なさってみてください。
〇仕事人生
〇善い仕事
〇相互尊重
これらの言葉について、あるいはこのほかの言葉についてもそうですが、語り合った内容を是非教えてください。